中国化粧水市場2025:抖音が天猫を初逆転、国産ブランドが+1769%成長の衝撃
なぜ今、中国の化粧水市場を見るべきか
中国のスキンケア市場に、構造的な地殻変動が起きています。
「天猫(Tmall)が中国ECの王者」という常識は、もはや過去のものになりつつあります。2025年、化粧水・爽肤水カテゴリにおいて抖音(TikTok)の販売額が初めて天猫を上回り、市場の主役交代が数字として明確になりました。
さらに驚くべきは、この変化の中で国産ブランドが+1769%という爆発的な成長を記録していること。日本の化粧品・スキンケア関連のビジネスパーソンや投資家にとって、この市場シフトが持つ意味は非常に大きいです。
知行戦略咨询の最新レポートをもとに、最重要論点である「プラットフォーム逆転と国産ブランド台頭」を深掘りします。
抖音が天猫を逆転した「3つの数字」
販売額・販売数量・平均単価が語る真実
2023年〜2025年(1〜9月)の2プラットフォーム比較データを見ると、構造変化の速さが鮮明です。
販売額シェア(化粧水/爽肤水カテゴリ)
| 年 | 天猫(淘系) | 抖音 |
|---|---|---|
| 2023年1-9月 | 54% | 46% |
| 2024年1-9月 | 52% | 48% |
| 2025年1-9月 | 45% | 55% |
2年間でシェアが10ポイント逆転。しかも抖音の成長は「低価格による販売数量の爆発」が起点です。
- 抖音の販売数量:2023年→2025年で+84.6%増
- 抖音の平均単価:96.3元→66.6元→72.2元(一度大幅に下落後、やや回復)
- 天猫の平均単価:113.6元→112.2元→117.4元(安定した高価格帯を維持)
つまり「抖音は低価格大量販売で市場を取り、天猫は高単価少量販売で守る」という二極化構造が完成しています。
市場は「存量競争」フェーズへ突入
2025年1〜9月の2プラットフォーム合計を見ると、
- 総販売額:121.8億元(前年比わずか+2.8%)
- 総販売数量:1.398億件(ほぼ横ばい)
市場全体の量的拡大は限界に達し、既存ユーザーの奪い合い(存量競争)フェーズに入っています。規模での成長が難しくなった今、ブランドは「機能細分化・価格分層化」による客単価の最適化に軸足を移しています。
急成長する国産ブランドと沈む国際ブランド
抖音ランキングが示す衝撃の数字
2025年1〜9月の抖音トップブランドを見ると、国産・新興ブランドの躍進が際立っています。
抖音化粧水カテゴリ注目成長ブランド(2025年1-9月)
| ブランド名 | 販売額 | 成長率 |
|---|---|---|
| 林清轩(Forest Cabin) | 1.35億元 | +1769.1% |
| 毕生之研 | 1.12億元 | +1103.8% |
| 焕妍说 | 0.87億元 | +998.7% |
| 温博士 | 1.14億元 | +957.1% |
| DR.WU/达尔肤 | 2.04億元 | +427.7% |
一方、天猫では依然として海蓝之谜(La Mer)、SK-II、ランコムなどの国際高級ブランドがTOP5を占めています。ただし海蓝之谜でさえ天猫では-18.5%の下落を記録。
国際ブランドと国産ブランドの棲み分けは明確です。
- 天猫:国際高級ブランドが高価格帯を独占(均価500元超)、少量高単価モデル
- 抖音:国産・新興ブランドが80%超を占め、低価格高回転モデルで市場を席巻
「高需要・低供給」という未開拓の空白ゾーン
レポートが特に注目しているのが、需要と供給のギャップから見えるチャンスゾーンです。
機能別の需要・供給分析(2025年10月データ)によると:
狙うべき「高需要・低供給」ゾーン
– 敏感肌向け:需要指数1.1億超に対し供給指数は5,883(相対的に少ない)
– 修護(バリア修復):需要指数7,180万、供給指数3,900
すでに飽和の「低需要・高供給」ゾーン
– 成分名訴求(ポリジメチルシロキサン、パラオキシアセトフェノンなど)
– 控油(皮脂コントロール):-25%のマイナス成長
– 祛痘(ニキビケア):-38%のマイナス成長
成長している機能は抗皱(エイジングケア)+52%、舒缓(鎮静)+51%と、より高単価・高機能の方向に需要が移動しています。
日本企業・日本人への影響と示唆
キャリアへの示唆
中国の化粧品・EC・マーケティング領域でキャリアを築きたい日本人にとって、このレポートは重要なシグナルを発しています。
- ライブコマース(直播)スキルの価値が急上昇:抖音の化粧水カテゴリでは直播が販売額の72%を占め、その87%が達人(KOL/インフルエンサー)主導。日本人でもKOL起用・管理・コンテンツ戦略を担える人材への需要は高まっています
- 「敏感肌」「修護」特化の商品知識が差別化に:供給不足のニッチゾーンへの深い理解は、ブランドマーケターとして希少価値を持ちます
- 天猫一辺倒の運営経験だけでは不十分:抖音での運営ノウハウ・データ分析力(巨量云図等)を持つことが、2025年以降の採用市場で必須スキルになりつつあります
ビジネスへの示唆
日本の化粧品ブランドが中国市場に参入・拡大する際のポイント:
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チャネル選択の再考:天猫への集中投資は見直しが必要。特に中価格帯(50〜300元)の製品は抖音での展開が主戦場になっています
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敏感肌・修護訴求で差別化:日本ブランドが強みを持つ低刺激・敏感肌対応は、中国市場で「高需要・低供給」のポジションに合致。アベンヌ(雅漾)が天猫・抖音双方でTOP10に残る事例が示すように、機能的信頼性が長期的競争力になります
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ライブコマースへの本格参入:抖音での国産ブランド台頭の最大の要因は「達人直播(KOLライブ配信)」。日本ブランドも現地KOLとの戦略的提携なしには戦えない環境になっています
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礼盒(ギフトセット)戦略の活用:海蓝之谜の事例が示す通り、高単価帯での1万件以上の販売を実現しているのは、均価3,640元の礼盒セット。贈答需要と大促節点(618、双十一)を組み合わせたセット販売は、高価格帯維持の有効手段です
まとめ:3つのポイント
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抖音が化粧水市場で天猫を逆転(シェア55% vs 45%)。低価格・大量販売モデルが主流となり、市場は「存量競争」フェーズへ。天猫は高価格帯の防衛戦に移行
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国産ブランドが抖音で爆発的成長(林清轩+1769%等)。一方、日本ブランドが強みを持つ「敏感肌・修護」機能は高需要・低供給のブルーオーシャン。機能的信頼性での差別化余地が大きい
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達人ライブコマースが市場を支配(抖音販売の72%が直播、そのうち87%が達人主導)。中国市場攻略にはKOL戦略とデータ活用が不可欠であり、これは日本人のキャリアにおいても重要なスキルセットとなっている
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